Curious Cat

RAYFORCE

Notes

AM 6:00 at Opal Bay

あれから一体どのくらいの時間がたったのだろう
水晶のように煌めく光の渦の中、私は投げ出され
夜よりも暗く深い闇の中、私は漂い続けた
気がつくと一人この場所に埋もれ
それから私は毎日海と空を眺め続けている
光と影と風によって姿を変え続けるOpal Bay
私は密かにこの海をそう名付けた
来る日も来る日も波を数え、水平線に目を凝らした
いつか誰かがこの私を見つけてくれるに違いない
その事だけを信じて海の彼方を探し続けた
けれど、私が本当に待っているのは
私を救ってくれる誰かではなく、私を破壊しようとする誰か
そのジャガーの爪のように鋭い悪意は私を再び覚醒させ
この壊れた肉体の隅々にまで
強い意志とエネルギーを循環させてくれるだろう
さもなくば、徹底的に私は蹂躙され
かすかな意識のかけらすら消滅させられるだろう
いずれにせよこのゲームは終わる
その事だけが私の希望、私の夢
私はいつか来るその日を今日もここで待ち続ける
PM 2:00 at Opal Bay

彼は今日もOpal Bayを軽やかに泳ぎ続ける
唯一私を存在として認めてくれる生命体
時に空を飛び、時に海に潜り
私に慰めの言葉を投げかけてくれる
そんな彼を見ているうちに
いつしか私の中に新しいタイプの
感情が芽生えている事に気付いた
それは何かを攻撃するのではなく守ろうとする気持ち
彼を守ろうとする感情
それは私を動揺させ狼狽させた
そしてその初めての感情は私の中で一つの確信となり
私は彼にメッセージを送り続けた
しかし彼はその事については何も語ろうとしないし
私もこのようなケースの対策について
何一つ有効な方法論を持ち合わせていなかった
ただ一つ気付いた事は、彼に何かを伝えることよりも
その感情そのものが大切である事
そして何よりも彼は誰かに守られたくはなかったのだ
今日も私は彼を見ている
それはそれで十分に満足できる事だった
PM 11:00 at Opal Bay

細い三日月が暗い海を照らしている
夜になるとすべての生命体は落ちつきを取り戻し
今日一日のすべての出来事を
月に向かって語り始める
遠い遠い昔、もしかしたら何万年も前
私は宇宙の片隅でこんな風景を思い描いていた
今、私は月に向かって何を語ればいいのか…
打ち寄せる波で私の肉体の腐食がさらに進んだ事?
その腐食した部分から伸びた植物が小さな花を咲かせた事?
今夜こそは真実を告白しよう
戦いに明け暮れる日々の間私が望んでいたのは
もっと静かで穏やかな日々、そう、それは例えば今の私
海や空を見つめ、激しくはないけれど
すこしずつ何かを学び何かを得る日々
…本当は私は知っていたのだ
私自身の破壊はみずからが望んだ事
だけどもうそろそろ終わりにしよう
私のシステムを再起動させよう
私はアンドロイド
戦い続ける事でしか生きられないのだから…
アレンジCD『RUBBING BEAT』のブックレットに載っているものです。
このCDには「Q.E.P.D.」の歌アレンジ(英語)があります。
歌詞は載っていますが、訳や原詩は載っていません。

ちなみにQ.E.P.D.とは“que en paz descanse”の略で(スペイン語)、“死者の霊が安らかに憩わんことを”といった意味です。
端的に訳すなら「安らかに眠れ」なんですが、Q.E.P.D.の歌アレンジの印象もあり、私は賛美歌などで使われているフレーズを借りています。(魂にするか霊にするか迷いますが…)
TAMAYOさんにお聞きしたところ、この言葉に出会ったのはスペイン語の辞書だそうです。
リアルだとDescanse en paz(DEP)の方が自然かもしれません。ラテン語源だとまた順番が変わるようです。どちらにしても使う状況や意味は同じで、英語圏のR.I.P.と同じ感じです。
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